身の回りの小物たち その2

少し前、蔦屋代官山で憧れの写真集が平積みになっているのをみかけました。
アンリ・カルティエ=ブレッソンの「The Decisive Moment」です。

10年くらい前、一度だけ実物を見たことがあったのですが、
年期の入った黄ばんだマティスの表紙絵は、
「見せてください」なんてとても言えない金額の値札と一緒に
ショーケースの中に納まっていました。

そんな貴重な本の新品が、手に取れるなんて。
帰ってから調べたら、「世界一美しい本を作る男」のシュタイデル社が、
60何年ぶりに復刻したとのことでした。

ブレッソンといえば、「アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶」という
ドキュメンタリ映画を大学生の時に観たことがあります。
場所は渋谷にあるシネマライズだったと記憶しています。
シネマライズは個人的に思い入れの深い映画館で、
始めて行ったいわゆるミニシアターでした。
ふかふかの一人がけソファが、
こぢんまりとした空間にぽつり、ぽつりと置いてあって、
照明を落としたあとの薄暗闇と親密になる感じが大好きでした。

この映画は亡くなる直前のブレッソンを追った記録映像です。
気難しい大先生かと思いきや、どえらいチャーミングなおじいちゃんで、
その人柄に魅せられて気付けば70分の上映時間はあっと言う間に終わっていました。

その映画の冒頭にブレッソンが赤い万年筆を取り出して、
できたてほやほやの写真にサインを入れるシーンがあるのですが、
そこがなんでか気になって、DVD販売されてから何回もそのシーンを再生しました。

だから万年筆はブレッソンとお揃いの赤。


2015.07.14

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